おでこのシワに悩む方が年々増えています。加齢による自然なシワだと思っていても、実は日常的な習慣が原因かもしれません。今回は、おでこのシワがなぜできるのか、その発生メカニズムについて詳しく解説していきます。

監修者

LIGHT CLINIC 総合監修医

吹田 真一

国立循環器病研究センター勤務を経てLIGHT CLINICを開業。

 

 

おでこのシワが発生する仕組み

おでこのシワは、表情筋の繰り返しの動き年齢とともに進行する肌の衰え、そして外部環境からの影響が組み合わさって発生します。毎日の何気ない表情や習慣が、知らず知らずのうちにシワを深くしていくのです。

主な原因

おでこのシワの形成には、複数の要因が絡み合っています。とりわけ目立つのが、私たちの表情の作り方とスキンケアの習慣です。日常生活の中で自然と行っている動作や、意識せずに行っているケアの方法が、おでこのシワを深くする原因となっているかもしれません。

表情筋の動きと習慣

私たちの顔には、表情を作るための筋肉が数多く存在しています。おでこの部分には前頭筋という表情筋があり、この筋肉の動きによってシワが形成されていきます。例えば、眉を上げる動作を頻繁に行うことや、目を大きく開く習慣がある人は、自然とおでこの筋肉を使うことになります。特に、パソコンやスマートフォンの画面を見る時に無意識に眉を上げている人は、おでこのシワが発生しやすい傾向にあります。

肌の老化と環境要因

年齢を重ねるにつれて、私たちの肌は様々な変化を経験します。加齢に伴う真皮層のコラーゲンやエラスチンの減少は、おでこの肌のハリや弾力を低下させる大きな要因となります。また、紫外線による肌の損傷乾燥によるバリア機能の低下も、シワの形成を促進します。特におでこは日光に直接さらされやすい部分であり、帽子やサンバイザーなどで適切に保護していない場合、紫外線による影響を受けやすい部位となってしまいます。

シワの種類と特徴

おでこにできるシワには、いくつかの種類があります。それぞれのシワの特徴を理解することで、より効果的な予防や治療が可能になります。一般的に、おでこのシワは表情による一時的なものから、年齢とともに定着するものまで様々な段階があり、早期のケアや適切な治療によって、シワの進行を防ぐことができます。

動的なシワと静的なシワ

表情による一時的なシワを動的なシワ、表情に関係なく常に存在するシワを静的なシワと呼びます。動的なシワは、眉を上げたり目を大きく開いたりする表情をした時にだけ現れ、表情を緩めると消えていきます。この段階では、まだシワは肌に定着していないため、適切なケアで予防することが可能です。一方、静的なシワは肌の弾力低下によって定着した状態を指し、ボトックス注射やヒアルロン酸注入などの医療的なアプローチが効果的とされています。

年齢による変化

年齢を重ねるにつれて、おでこのシワは段階的に変化していきます。20代後半から30代前半にかけては、表情による一時的なシワが気になり始める年齢です。この時期に適切なケアを始めることで、シワの定着を防ぐことができます。40代になると、コラーゲンやエラスチンの減少が顕著になり、それまでの動的なシワが徐々に静的なシワへと変化していきます。50代以降は、肌の水分保持力や弾力性の低下がさらに進み、より深いシワが形成されやすくなります。そのため、年齢に応じた適切なケアや治療法の選択が重要になってきます。

ボトックス注射による治療

おでこのシワ治療において、ボトックス注射は高い効果が期待できる治療法として注目されています。この治療法は、表情筋の過剰な動きを抑制することで、シワの形成を防ぎ、さらに既存のシワを改善する効果があります。

治療の基本メカニズム

ボトックス注射による治療は、筋肉の動きを一時的に抑制することでシワを改善する医療技術です。この治療では、特殊な医療用タンパク質を使用し、安全性の高い施術として、世界中で数多くの実績があります。治療効果は個人差がありますが、一般的に3〜6か月ほど持続するため、定期的な治療によって効果を維持することができます。

ボツリヌストキシンの作用

ボツリヌストキシンは、神経と筋肉の情報伝達を一時的にブロックする働きを持つ医療用の薬剤です。具体的には、アセチルコリンという神経伝達物質の放出を抑制することで、筋肉の過剰な収縮を防ぎます。この作用により、表情筋の動きが穏やかになり、結果としておでこのシワの形成を抑制することができます。

注入部位と量の調整

治療効果を最大限に引き出すためには、患者さん一人ひとりの表情筋の特徴に合わせた、きめ細かな施術が必要です。医師は診察時に、患者さんの表情の作り方や筋肉の動きを詳しく確認し、最適な注入位置と量を決定していきます。特に重要なのは、目の開閉に影響を与えないよう、適切な注入位置を選択することです。医師は患者さんの目の動きや眉の上げ下げを確認しながら、安全かつ効果的な注入を行っていきます。

製剤の種類と特徴

ボトックス治療で使用される製剤には、複数の種類があります。それぞれに特徴があり、患者さんの症状や希望に応じて、最適な製剤を選択することが可能です。治療効果を最大限に引き出すためには、製剤の特性を理解したうえで選択することが重要です。

ボトックスビスタの特徴

ボトックスビスタは、アメリカのアラガン社が開発した製剤で、日本では厚生労働省からの認可を受けている信頼性の高い製品です。この製剤は世界中で1,100万人以上の使用実績があり、持続期間は個人差はありますが、一般的に4〜6か月程度となっています。さらに、臨床比較試験においても高い効果が実証されており、多くの美容クリニックで第一選択として使用されています。

その他の製剤との違い

近年では、韓国製のボツリヌストキシン製剤なども利用可能です。これらの製剤は価格が比較的安価である一方、持続期間が3〜4か月とやや短めという特徴があります。効果自体はボトックスビスタと大きな差はないものの、治療の頻度が若干多くなる可能性があります。ただし、コストパフォーマンスの面では魅力的な選択肢となっています。

施術の流れと所要時間

ボトックス治療は比較的シンプルな手順で進められます。一般的な治療全体の所要時間は、カウンセリングから施術完了まで通常30分程度です。また、最近では施術自体の痛みは最小限に抑えられるよう工夫されています。

カウンセリングのポイント

一般的なカウンセリングでは、まず患者さんの気になる症状や希望について詳しくお聞きします。医師は患者さんの表情の動きを確認しながら、最適な治療プランを提案していきます。特に重要なのは、過去の美容医療の経験や既往歴の確認です。これにより、安全で効果的な治療を実現することができます。

実際の注入手順

一般的な施術では、まず施術前の写真撮影を行い、その後保冷剤による痛み軽減処置を実施します。注入は医師が丁寧に行い、1部位あたり約5分程度で完了します。施術中は患者さんの表情筋の動きを見ながら、最適な注入量を調整していきます。施術後は、注入部位の止血を確認し、必要な注意事項の説明を行って終了となります。

効果とダウンタイム

おでこのボトックス治療は、多くの方に選ばれている施術です。この治療では、施術直後から効果を実感できる方もいれば、徐々に効果が現れる方もいます。また、ダウンタイムが極めて短いことから、お仕事や日常生活への影響を最小限に抑えられる特徴があります。さらに、定期的な治療により、長期的な効果を維持することが可能です。

期待できる効果

ボトックス治療による効果は、患者さんの年齢や肌の状態によって異なります。表情筋の動きが抑制されることで、自然な表情を保ちながら、シワの予防や改善が期待できます。多くの方が、治療後の肌のハリ感やツヤの向上も実感されています。

即効性と経過

治療効果は段階的に現れていきます。施術後3日から1週間程度で、表情筋の動きが穏やかになり始め、その後2週間程度でシワの改善効果を実感できるようになります。1か月後には最大の効果が現れ、自然な表情を保ちながらも、シワの気にならない状態が続きます。この間、メイクのノリが良くなったり、化粧崩れが軽減されたりする効果も期待できます。

持続期間の目安

ボトックス治療の効果は、使用する製剤の種類や個人の体質によって異なりますが、一般的に3〜6か月程度持続します。定期的な治療を継続することで、より長期的な効果を維持することができます。また、適切な間隔での施術により、徐々に筋肉の動きが穏やかになり、結果として治療の間隔を延ばすことも可能になってきます。ただし、運動量が多い方や代謝の早い方は、効果の持続期間が若干短くなる傾向にあります。

施術後の注意点

ボトックス治療の効果を最大限に引き出すためには、施術後の適切なケアが欠かせません。特に施術直後は、お肌の状態に気を配りながら、日常生活での制限事項を守ることが大切です。また、継続的なスキンケアによって、治療効果をより長く維持することができます。

活動制限と制限期間

施術後24時間は、ボトックスが注入部位にしっかりと定着する大切な時期です。この間は、激しい運動や長時間の入浴は避け、体温を上げすぎないよう注意が必要です。特に施術当日は、サウナやホットヨガ、飲酒といった血行を促進する行為は控えめにすることをおすすめします。また、施術後4時間程度は横になる姿勢を避け、注入したボトックスが適切な位置に留まるようにすることが重要です。

ケアの方法

施術後のスキンケアは、お肌に優しく丁寧に行うことが基本です。洗顔は優しく撫でるように行い、こすったりマッサージしたりする強い刺激は避けましょう。また、施術部位の保湿ケアを丁寧に行うことで、お肌の状態を整えることができます。紫外線対策も重要で、日焼け止めの使用や帽子の着用により、お肌を守ることが大切です。なお、メイクは施術翌日から可能ですが、優しくタッピングするように塗布することをおすすめします。

リスクと注意事項

ボトックス治療は、数多くの実績がある安全性の高い施術です。しかし、医療行為である以上、起こりうるリスクについて正しく理解しておくことが大切です。治療に際しては、事前の十分な説明適切な診察を行い、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てています。

起こりうる副作用

副作用の多くは一時的なものであり、適切なケアによって改善が期待できます。ただし、気になる症状が出た場合には、早めに医師に相談することが重要です。また、施術前の詳しい問診により、起こりうるリスクを最小限に抑えることができます。さらに、定期的な経過観察によって、安全で効果的な治療を実現しています。

一時的な症状

施術直後に現れる可能性のある症状として、注入部位の内出血や軽い腫れがあります。これらは通常、3日から1週間程度で自然に改善します。また、まれに頭痛や違和感を感じる方もいますが、これらの症状も一時的なものです。さらに、注入部位の軽い痛みを感じることもありますが、冷やすことで緩和することができます。

重要な禁忌事項

ボトックス治療を安全に受けていただくために、いくつかの重要な確認事項があります。特に妊娠中や授乳中の方特定の神経筋疾患をお持ちの方は治療を受けることができません。また、治療中の病気や服用中の薬がある場合は、必ず事前に医師に相談することが必要です。過去にボトックス治療で体調の変化があった方や、アレルギー反応を経験したことがある方も、必ず申告していただく必要があります。

失敗を防ぐポイント

ボトックス治療の成功のカギは、適切な医師選びと十分な事前確認にあります。経験豊富な医師による施術で、安全で満足度の高い結果を得ることができます。また、詳細な事前カウンセリングにより、患者さんの希望に沿った最適な治療計画を立てることが可能です。

医師選びの基準

信頼できる医師を選ぶ際には、施注資格認定医の資格を持っているかどうかが重要な判断基準となります。また、豊富な症例数高いリピート率も、医師の技術力と信頼性を示す重要な指標です。特に、アラガン社などの製薬会社から表彰されている実績や、定期的な技術研修への参加なども、医師の専門性を判断する材料となります。

施術前の確認事項

治療を受ける前には、まずクリニックの安全管理体制を確認することが大切です。医療機器や薬剤の管理状況、アフターケアの充実度、そして緊急時の対応体制なども重要な確認ポイントです。また、実際の症例写真や施術前後の変化、他の患者さんの体験談なども参考にすることで、より安心して治療を受けることができます。

併用療法の検討

より高い効果を求める場合、ボトックス単独の治療だけでなく、他の治療法との組み合わせを検討することも有効です。複数のアプローチにより、より自然な若々しさを取り戻すことができます。また、長期的な効果を維持するための治療計画も立てやすくなります。

ヒアルロン酸との組み合わせ

特に深いシワや年齢による凹みがある場合、ヒアルロン酸注入との併用が効果的です。ボトックスで筋肉の動きを抑制しながら、ヒアルロン酸でボリュームを補充することで、より自然な仕上がりが期待できます。また、持続期間の異なる2つの治療を組み合わせることで、より長期的な効果を維持することができます。

その他の選択肢

マッサージピールやHIFU治療との組み合わせも効果的です。マッサージピールでは肌表面のハリ感やくすみの改善が期待でき、HIFU治療ではより深層部のたるみにアプローチすることができます。また、日常的なスキンケアとの組み合わせにより、治療効果をより長く維持することができます。

まとめ

おでこのシワ治療におけるボトックス注射は、効果的で安全性の高い治療法として確立されています。治療効果を最大限に引き出すためには、信頼できる医師による適切な施術と、施術後の丁寧なケアが重要です。また、状態や希望に応じて、他の治療法との組み合わせを検討することで、より満足度の高い結果を得ることができます。気になる症状がある場合は、まずは専門医への相談をおすすめします。