年齢を重ねるにつれて気になり始めるのが、深くそして目立ちやすくなるほうれい線です。ほうれい線は顔の印象や見た目年齢に大きな影響を与えるため、多くの方が悩むポイントとなっています。しわの改善に使われるボトックス注射を検討する人も少なくありません。しかし、ほうれい線のタイプによってはボトックス注射では解消できないケースもあることをご存知でしょうか。本記事では、ほうれい線にボトックス注射は効果的かどうか、その効果やデメリットについて詳しく解説します。
LIGHT CLINIC 総合監修医
吹田 真一
国立循環器病研究センター勤務を経てLIGHT CLINICを開業。
CONTENTS
ボトックス注入によるほうれい線改善の仕組みと効果
ボトックス注射は、表情ジワによるほうれい線の改善に大きな効果を発揮します。笑うなど表情を変えた際にほうれい線が目立ち、無表情の時には気にならない場合は、表情筋の過剰な動きが原因です。日常的な表情の癖を意識的に直すのは難しいものですが、ボトックス注射は表情筋に直接アプローチできるため、短い治療時間でほうれい線の改善が期待できます。ボトックス注射にはほうれい線以外にも、笑った際に表情が左右非対称になる症状を整える効果もあります。
ほうれい線とシワの違いについて
医学的には、ほうれい線は 鼻唇溝(びしんこう) と呼ばれ、鼻の両脇から口角にかけて形成される溝を指します。加齢とともにコラーゲンやエラスチンなどの真皮層の成分が減少し、肌のハリが低下することで、この溝が深くなりほうれい線が目立つようになります。一方でシワは、肌のハリ成分の減少によって皮膚がよれ、しわが生じるものです。つまり、ほうれい線はシワとは異なる皮膚の変化に伴って生じる溝なのです。
ボトックス注入で期待できる3つの効果
表情時のほうれい線軽減効果
ボトックス注射は、表情筋の過剰な動きによって生じるほうれい線を軽減することができます。笑顔などの表情変化時に深刻化するほうれい線は、ボトックスによって表情筋の動きを抑制することで目立ちにくくすることができるのです。
左右非対称な表情の改善
ボトックス注射には、表情の左右非対称な症状を整える効果もあります。片方だけでものを噛む癖や頬杖をつく習慣があると、左右の筋肉の発達に差が生まれ、表情に左右差が生じることがあります。ボトックスを過剰に発達した筋肉に注入することで、左右のバランスを改善することができます。
予防効果としての働き
ボトックス注射を定期的に行うことで、今後のほうれい線の悪化を予防することもできます。表情筋の動きを抑制することで、筋肉の収縮によって深くなっていくほうれい線の進行を食い止められるのです。
ボトックス治療の適応と限界について
ボトックス注射は表情ジワによるほうれい線の改善に効果的ですが、すべてのほうれい線に有効というわけではありません。ほうれい線の原因は様々で、その原因によってはボトックス注射では改善が期待できない場合もあるのです。
ボトックスが効果的なほうれい線のタイプ
ボトックス注射で最も効果が期待できるのは、表情筋の過剰発達が原因の「筋肉型」のほうれい線です。笑顔などの表情変化時にほうれい線が深くなる人は、この筋肉型に当てはまることが多いでしょう。ボトックスを注入することで表情筋の動きを抑制し、ほうれい線を目立たなくすることができます。
治療効果が期待できない症例
一方で、ほうれい線の原因が皮膚のたるみである「皮膚たるみ型」や、小鼻周辺の骨の形状が関係する「骨くぼみ型」の場合、ボトックス注射では十分な効果が得られない可能性があります。これらのタイプでは、表情筋の動きを抑えても皮膚の状態が改善されないため、かえってほうれい線が目立つようになるおそれがあります。このような場合は、ボトックス注射よりもヒアルロン酸注入が向いています。
向いている方の特徴と条件
ボトックス注射で効果的に改善できるのは、表情変化時にほうれい線が目立つ人です。特に、笑顔などの表情を変えると両側のほうれい線が深くなる人に適しています。
また、左右の表情に非対称な差がある人もボトックス注射の良い適応候補といえます。左右の筋肉の発達に差がある場合、ボトックスを注入して左右のバランスを整えられるためです。
ただし、ほうれい線が皮膚のたるみや骨の形状が原因で生じている人には、他の治療法のほうが向いています。ボトックス注射を検討する前に、自分のほうれい線の原因を医師に確認することが重要です。
ボトックス治療のリスクと注意点
ボトックス注射にはたくさんのメリットがありますが、ボトックス治療を受ける際には、起こり得る副作用やデメリットについても十分に理解しておく必要があります。ボトックス治療を検討する際は、このリスクと注意点をしっかりと把握しましょう。
治療後に起こりうる副作用
表情の違和感と動きの制限
ボトックス注射を受けると、注入した部位の筋肉の動きが制限されるため、表情に違和感が生じる可能性があります。注入量が多すぎたり、間違った箇所に注入された場合、他の表情筋まで影響を及ぼし、しばらくの間、表情が自然に動かせなくなったり、引きつったりする状態が続くことがあります。
ダウンタイムについて
ボトックス注射は低侵襲な治療とされていますが、完全に副作用がないわけではありません。注射後に注射部位の赤み・腫れ・内出血などの症状が現れることがあり、1週間ほどのダウンタイムが必要になる場合があります。メイクアップは可能ですが、注射部位を強くこすると薬剤が広がって副作用が出る恐れがあるため、優しく行う必要があります。
効果の持続期間と維持
ボトックス注射の効果は一時的で、長くて6ヶ月程度です。その後は表情筋の働きが回復し、ほうれい線が再び目立つようになってきます。効果を持続させるには、3〜4ヶ月に1度のペースで定期的に治療を受ける必要があるのが特徴です。2回目以降の施術では、1回目よりも効果の持続期間が長くなる傾向にあります。
治療費用の目安
ボトックス注射の治療費用は、使用する薬剤の種類や量、注入箇所によって異なります。一般的な目安として、ほうれい線などの口回りの治療は1〜5万円程度です。目元や額など、注入量の少ない部位の場合は4,000円〜と比較的安価ですが、ふくらはぎや多汗症治療など、注入範囲が広い場合は15,000円以上かかることもあります。また、麻酔クリームの使用や特殊な針の使用といったオプションにも費用がかかります。ボトックス注射は健康保険の適用外のため、自由診療になることにも注意が必要です。
他の治療法との比較
ボトックス注射以外にも、ほうれい線を改善するための治療法はいくつか存在します。ボトックス注射とほかの治療法の特徴を比較することで、自分に合った最適な治療法を見つけることができます。
ヒアルロン酸注入との違い
ボトックス注射が表情筋の動きを抑制することで、ほうれい線の改善を目指すのに対し、ヒアルロン酸注入は皮膚のたるみを改善することで、ほうれい線を目立たなくさせる治療法です。
加齢によってコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚のハリが失われることで深くなったほうれい線は、ヒアルロン酸の注入によって皮膚をふっくらと持ち上げることで、目立ちにくくなります。つまり、ヒアルロン酸注入は、ボトックス注射では改善が難しい皮膚たるみ型のほうれい線に向いている治療法といえます。
グロースファクター治療との比較
グロースファクター治療とは、皮膚の若返りに関与する成長因子を活性化させることで、肌のハリやツヤを取り戻す治療法です。
ボトックス注射がほうれい線の改善に直接アプローチするのに対し、グロースファクター治療はほうれい線の原因そのものに働きかけることで、より根本的な解決を目指す治療法といえます。
ただし、グロースファクター治療は、ボトックス注射と比べるとやや高額で、複数回の治療が必要になるのが特徴です。
組み合わせ治療の可能性
ほうれい線の原因が複雑な場合、単一の治療法では十分な効果が得られないことがあります。
そのような場合は、ボトックス注射とヒアルロン酸注入、グロースファクター治療といった複数の治療法を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。
例えば、表情筋の過剰な動きによるほうれい線にボトックス注射を行い、さらにそこに皮膚のハリを取り戻すためにヒアルロン酸注入を組み合わせるなど、患者さんの状態に合わせてカスタマイズした治療が可能です。
まとめ
ボトックス注射は、表情ジワによるほうれい線の改善に大変効果的な治療法ですが、ほうれい線の原因や症状によっては他の治療法のほうが適していることがあります。
ご自身のほうれい線の悩みを改善するには、まず適切な診断を受けることが重要です。
LIGHT CLINICでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせて丁寧な診断を行い、ボトックス注射以外の治療選択肢も含めた最適なプランをご提案しています。
ボトックス注射による副作用やリスクは、適切な知識と準備、そして信頼できる医師のもとで施術を受けることで、最小限に抑えることが可能です。まずは無料カウンセリングなどを利用して、自分に最適な治療プランを見つけてみましょう。