近年、著名人の減量成功例として話題を集めるGLP-1ダイエットについて、その効果や安全性に注目が集まっています。特にSNSでの口コミメディアでの報道を通じて、多くの方がその効果に期待を寄せているようです。この記事では、GLP-1ダイエットの仕組みから副作用、適切な使用方法まで、徹底的に解説していきます。

監修者

LIGHT CLINIC 総合監修医

吹田 真一

国立循環器病研究センター勤務を経てLIGHT CLINICを開業。

GLP-1ダイエットとは

GLP-1ダイエットは、もともと2型糖尿病の治療薬として開発された薬剤を用いた医療的な減量方法です。体内で分泌されるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンと同様の働きをするGLP-1受容体作動薬を使用することで、自然な形での減量を目指します。

GLP-1の仕組みと効果

GLP-1は私たちの体内で自然に分泌される消化管ホルモンの一つで、食事を摂取した際に小腸から分泌されます。この仕組みを応用したGLP-1受容体作動薬は、複数の作用メカニズムを通じて効果的な体重管理を実現し、持続的な減量効果をもたらします。

インスリン分泌促進と血糖値コントロール

GLP-1受容体作動薬は、血糖値が上昇した際に膵臓に働きかけ、インスリンの分泌を促進する働きがあります。また、血糖値が正常な範囲にあるときには作用しないため、過度な血糖値の低下を防ぐことができます。

食欲抑制と満腹感の持続

脳の視床下部にある食欲中枢に直接作用することで、自然な形で食欲を抑制します。また、胃の内容物の排出を遅らせる効果があり、満腹感を長時間持続させることができます。

基礎代謝の向上

GLP-1受容体作動薬は、褐色脂肪細胞の活性化を促進し、エネルギー消費を増加させる効果があります。これにより、基礎代謝が向上し、より効率的な体重減少が期待できます。

GLP-1ダイエットの対象者と禁忌事項

医療機関でGLP-1ダイエットを開始できる方は、BMIが25以上の肥満症で、これまでの食事療法や運動療法で十分な効果が得られなかった方が対象となります。ただし、医師による適切な診断と継続的な管理が必須となります。

一方で、安全性の観点から治療を受けられない方もいます。妊娠中や授乳中の方、妊娠を計画している方、糖尿病患者、重度の胃腸障害がある方は禁忌とされています。また、膵炎や甲状腺疾患の既往歴がある方、18歳未満または70歳以上の方、摂食障害がある方も治療を受けることができません。

GLP-1受容体作動薬の種類と投与方法

現在、日本で使用可能なGLP-1受容体作動薬には、注射薬と経口薬の2種類があります。注射薬としては「オゼンピック」「サクセンダ」「ビクトーザ」「マンジャロ」が、経口薬としては「リベルサス」が使用されています。注射薬は1日1回、腹部や上腕、大腿部などに自己注射を行い、経口薬は1日1回内服します。

薬の種類や投与量は、患者一人ひとりの状態や治療目標に応じて医師が慎重に決定します。また、効果や副作用を適切に管理するため、定期的な診察を受けながら治療を進めていく必要があります。使用開始後は、体調の変化を注意深く観察し、気になる症状があれば速やかに医師に相談することが重要です。

GLP-1ダイエットの副作用とリスク

近年注目を集めているGLP-1ダイエットですが、医療機関での適切な管理のもとで実施する必要があり、副作用やリスクについて正しく理解することが重要です。特に治療開始前の十分な説明と定期的なチェックが必須となります。

主な副作用

GLP-1ダイエットでは、体内の代謝に関わる仕組みに作用するため、いくつかの副作用が報告されています。症状の程度には個人差があり、医師との密な連携が欠かせません。

低血糖

血糖値の急激な低下は、GLP-1ダイエットにおける注意すべき副作用の一つです。特に食事量が極端に少ない場合激しい運動後に起こりやすく、めまいや冷や汗、手足の震え、動悸といった症状があらわれます。

低血糖の症状を感じたら、すぐにブドウ糖を含む飲食物を摂取して安静にする必要があります。

胃腸障害

治療開始直後に最も多く報告される副作用が、胃腸への影響です。吐き気やむかつき下痢や便秘などの症状が出現することがあります。

多くの場合、これらの症状は治療を継続するうちに徐々に改善されていきますが、重度の症状が続く場合は投与量の調整が必要となります。

膵炎

まれではありますが、急性膵炎を引き起こす可能性があります。激しい腹痛背部への放散痛、嘔吐などの症状があらわれた場合は、直ちに医師に相談する必要があります。

個人輸入のリスクと危険性

個人輸入による薬剤の入手は、偽造品や品質管理の問題など、重大なリスクをはらんでいます。また、適切な用量設定副作用への対応が困難なため、健康被害につながる可能性が高くなります。

医師による処方と管理のもとで治療を受けることで、安全性を確保しながら効果的な減量を目指すことができます。

糖質制限や無酸素運動との併用の注意点

GLP-1ダイエット中の過度な糖質制限ハードな筋トレは、低血糖のリスクを高める可能性があります。特に無酸素運動との組み合わせには注意が必要です。

運動を取り入れる場合は、ウォーキングやゆるやかなジョギングなど、軽度な有酸素運動から始めることをおすすめします。

長期使用による潜在的リスク

GLP-1ダイエットの長期使用に関する研究は現在も進行中です。消化器系への影響ホルモンバランスの変化など、まだ明らかになっていない影響もある可能性があります。

定期的な健康診断や血液検査を通じて、体の変化を注意深くモニタリングすることが重要です。

また、治療終了後のリバウンド防止に向けて、適切な食事管理と運動習慣の確立を並行して進めていく必要があります。

GLP-1ダイエットの適切な使用法

GLP-1ダイエットで安全に減量効果を得るためには、医師による適切な管理正しい使用方法の理解、そして継続的なモニタリングが欠かせません。ここでは、効果的な治療のために知っておくべきポイントを詳しく解説します。

医師の診断と処方の重要性

GLP-1ダイエットを始める前には、詳細な問診各種検査を通じて、治療の適応があるかどうかを慎重に判断する必要があります。医師は患者さんの体重や生活習慣、既往歴などを総合的に評価し、最適な治療プランを立てていきます。

医療機関では、治療開始前に血液検査や心電図検査などを実施し、安全に治療を進められる状態かどうかを確認します。

副作用を抑える方法

副作用の予防と軽減のために、いくつかの重要な対策があります。これらを適切に実施することで、より安全で効果的な治療を進めることができます。

適切な薬剤使用

GLP-1ダイエットでは、段階的な用量調整が重要です。医師の指示に従い、決められた時間正しい量を使用することで、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。

注射薬の場合は、清潔な手指での操作と適切な注射部位の選択も大切です。

十分な水分補給

治療中は1日2リットル程度の水分摂取を心がけましょう。特に胃腸障害の予防脱水の防止のために、こまめな水分補給が重要です。

アルコールやカフェインの過剰摂取は避け、常温の水やお茶を中心に水分を補給することをおすすめします。

定期的な血液検査

治療開始後は、血糖値や電解質肝機能や腎機能、そしてホルモンバランスなどを定期的にチェックします。これにより、体の変化を早期に把握し、必要に応じて治療内容を調整することができます。

検査結果に基づいて、投与量の見直しや治療計画の修正を行うことで、より安全な治療の継続が可能になります。

医師によるフォローアップ

治療開始後は、定期的な診察を通じて体重の変化や副作用の有無を確認します。また、生活習慣の改善食事内容の見直しなど、包括的なサポートを受けることができます。

医師との良好なコミュニケーションを保ち、気になる症状や不安な点があれば、すぐに相談できる関係を築いておくことが大切です。

また、治療効果を記録するため、体重の推移や食事内容、運動量などを日記形式で記録しておくと、より適切な治療管理につながります。

生活習慣の改善

GLP-1ダイエットの効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣の見直しが欠かせません。特に食事内容の改善適度な運動を組み合わせることで、より確実な減量効果が期待できます。

バランスの取れた食事

GLP-1ダイエット中は、食事量が自然と減少する傾向にありますが、必要な栄養素はしっかりと摂取する必要があります。タンパク質を中心に、野菜や果物からのビタミンミネラルの補給を意識した食事プランを心がけましょう。

1日3食の規則正しい食事リズムを保ちながら、品数を多めにして少量ずつ食べることで、栄養バランスを整えやすくなります。

適度な運動と低血糖への注意

運動は減量効果を高める重要な要素ですが、急激な運動負荷は避ける必要があります。特に治療開始直後は、20分程度のウォーキング軽いストレッチから始めることをおすすめします。

運動前後の血糖値の変動に注意を払い、低血糖の症状を感じたら直ちに運動を中止し、ブドウ糖を含む飲食物を摂取しましょう。

アルコール摂取の制限

お酒はカロリーが高いだけでなく、食欲のコントロールを難しくする原因となります。また、GLP-1薬の効果に影響を与える可能性もあるため、治療中は可能な限り控えめにすることが望ましいです。

どうしても飲酒する機会がある場合は、週2回までとし、1回あたりの量を日本酒なら1合、ビールなら中ジョッキ1杯程度に抑えることをおすすめします。

スポーツジムでのトレーニングや職場での飲み会など、日常生活でよくある場面でも、自分の体調を第一に考えた判断を心がけましょう。

GLP-1ダイエットの社会的影響

近年、SNSやメディアでの話題性から、GLP-1ダイエットへの関心が急速に高まっています。しかし、本来の医療目的から外れた使用拡大や、安易なオンライン処方による問題も指摘されています。

糖尿病治療薬としての本来の役割

GLP-1受容体作動薬は、もともと2型糖尿病患者の血糖値コントロールのために開発された薬剤です。開発当初から血糖値の安定化インスリン分泌の促進という重要な医療的役割を担ってきました。

現在でも多くの糖尿病患者さんの治療に不可欠な薬剤として使用されており、安全性と有効性が確立されています。

ダイエット目的での使用拡大の問題

芸能人やインフルエンサーの影響により、痩せ薬としての認識が広がり、安易な使用を望む人が増加しています。この状況は、薬剤の需給バランスを崩し、本来必要な患者さんへの供給に影響を与える可能性も指摘されています。

医療機関では、肥満治療の選択肢として慎重に処方を行っていますが、安全性を無視した過度な期待や誤った使用方法による健康被害も報告されています。

オンライン処方の実態と課題

便利さから需要が高まるオンライン診療ですが、対面診療と比べた安全性適切な管理体制副作用への対応など、様々な課題が存在します。

特に初回診察でのリスク評価や、定期的な経過観察の重要性を考えると、安易なオンライン処方には慎重な姿勢が必要です。

まとめ

GLP-1ダイエットは、医師による適切な管理のもとで行うことで、安全で効果的な減量が期待できる治療法です。しかし、副作用のリスク正しい使用方法について十分な理解が必要です。

ダイエットを検討される方は、必ず医療機関での診察を受け、自身の状態や生活習慣に合わせた適切な治療法を選択することが重要です。

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